男子高校生なんて自分の席がどこかは誰も分からないだろ!

前回のあらすじ
人生初の高校生活に胸を膨らませた大翔(はると)は、入学初日にして自分の席が誰かに座られているという事件に直面する。自分の席かどうかが分からなかったので、教室の扉を開けては閉め、開けては閉めという奇行を連発していたところ、クラスの視線と不信感は急上昇してしまった。大翔の青春の幕開けは、まさかのドア開閉ラッシュの幕開けから始まったのだった。

ガラガラ 大翔は再び教室のドアを開けた。すると、教室内にいた名前の知らない男子が、自分の立場をわきまえずに人類史上最強の開閉の天才である僕に話しかけてきた。

「君、俺たちと同じクラスなら早く教室に入ってきてくれないか?」

なるほどな、こいつは僕に早く教室に入ってきてほしいと思っているのか。ほぉ~、さてはこいつ僕に恋しているな? これが一目惚れってやつ・・・か。申し訳ないが僕は男と恋愛する趣味はない。ここははっきり断るべきだな。それにしても、入学早々名前も顔も知らないやつから告白されるとはな。全く、モテる男はつらいぜぇ!

「ごめんな、僕は君と付き合うつもりはないんだ。生憎だが、男子のことを好きになる趣味は持ち合わせてないんだぜ!」
「何だと⁉ 貴様! どう解釈したらそうなりやがるんだ!」
僕は、そいつの事は放っておいて自分の席に座って寝ているロン毛野郎に声をかけに行った。
「おい待て、待て! 扉開閉サイコパス野郎! おい!」

さっきの男子は僕に振られたことを根に持っているようだが、振られて根に持つようなやつは恋愛してもうまくいかないぜ!
僕は心の中でそう思いながら、寝ているロン毛野郎に声をかけた。

「そこの他人の席で寝落ちロン毛頭いかれ男! そこは君の席じゃなく、僕の席だったみたいだぜ!」僕がそういうと、他人の席で寝落ちロン毛頭いかれ男は顔を上げ、こう言った。

「そ、某の事か⁉ そのあだ名は酷いでござる! ・・・えっと、ここは某の席ではなかったでござるか?」

うおおぉ⁉ 何だこのしゃべり方は、どう返していけばいいんだ? よく分からないがこいつと話すときはござるを付ければ通じるって事なのか?
「ござるの今座っている席は僕の席で、ござるの席は・・・確かこっちでござるぞ」僕は適当に隣の席を指さした。
「ほ、ほう、そうでござったか。某の名はござるじゃないのだが・・・、今は礼を言うのが先じゃな。ありがとう! それと、同胞に会えて嬉しいでござる」

ござるは自分の荷物を持って隣の席に移動したので、僕はその席に座って鞄を置いた。
すると、丁度次に教室に入って来た女子がござるの所に行き、ござるの事を見て話しかけた。

「そこあたしの席なんだけど?」
あぁ~あ、ござるの高校生活が終わりそうになってるよ。よりによって女子の席に座っちまうとは、ござるも運が悪かったな。
「え、いや、そんな事ないでござる。某はこちらの同胞にここの席と言われたでござる」ござるはそういって僕のことを指さした。

残念ながら、僕は適当にそこの席って言っただけだから、恐らくその席は今来た女子の席だったんだろう。仕方ない、適当にはぐらかすかぁ。

「えっ⁉ 言ってない、知らない、分からない。ここはどこ? 私は誰?」
「おいロン毛! こいつ知らないって言ってるじゃねーか!」
「なんじゃと! そ、某は此奴に騙されたのじゃ、信じてほしいでござる!」
「入学早々なに嘘ついてんだ! とっとと退け、クズ!」その女子はそう言い、ござるが座っている椅子を奪い取って、ござるを無理やり退かした。ござるは席を奪われて女子がその席に座ったのを見ると、周りを見渡した。すると、空いている席が僕の前しかないことに気が付き僕の方を見た。

「おぬし、酷いでござる!」
「まぁまぁ、落ち着けって。ござるの気持ちは俺が一番よく分かっているから」
「某の名はござるじゃないでござる! 絶対におぬしが一番分かっていないでござる!」

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