異世界は魔法の世界で 第2章『カザス平原』

ギャグ

こんにちは、ラノブロです! いつもお世話になっておりますm(_ _)m

今回は長編の『異世界は魔法の世界で』の続きになります!

今回もよろしくお願いしますm(_ _)m

主人公 香坂 彼方

ヒロイン アリサ

[カザス平原]

「正門から出られてしまった」僕は社員証を作り直したかったので、がっかりしていた。

「門番の人が知ってる会社だとあっさり出してもらえるんだよ、凄いでしょ!」

「ああ、まぁそうかぁ。社員証はしょうがないかぁ。それにしても月十万しか稼いでないのに門番に知れ渡っているんだな」

「そうに決まってんじゃん。十万も稼いでいるんだよ? 十万あったら一ヵ月は食事に困らないよ」

「・・・・・・それは社会人だと少ない方なんだぞ」

「そうなの? 門番の人は毎回よく頑張ってるねって言ってくれるよ?」

 ああ。門番の人たちに心配されるほど経営状況がヤバい会社だったんだな。そりゃあ門番の人たちも覚えるわな。

「十四歳なのに頑張ってて偉いんだって。これであたしの方が彼方より偉いって事の証明になったね」

 十四歳で起業していることも門番が覚えるきっかけだったのか。それは確かに覚えるきっかけにはなりそうな事だな。

「あ、あたしが社長だからあたしの方が偉いのか。いいな? あたしが言ったことには『はい』とだけ答えろよ? あたしが社長なんだからな?」

「ざけんな! 何で自衛隊みたいな規則作ろうとしてんだよ!」

「え~だってそうしないと面白くないじゃん」

 きみは会社の経営をしてはいけない側の人間だよ。

「彼方。そんな事よりあそこ! 一角ウサギ(いっかくうさぎ)がいるよ。戦って来て! 早く早く!」

 僕はアリサが指さした方を見ると、頭に小さな角が生えた可愛らしいウサギが草を食べていた。

「あんなに可愛いのを虐めるのか⁉ 僕には可哀想でできないよ」

「一角ウサギは一見可愛いけど、自分より弱いと思った相手をとことん虐める性格だよ?」

「なに⁉ よっしゃ、ちょっくらあのウサギちゃん潰してくる!」

「じゃあ、あたしは彼方が殺されたら助けるね」

「殺された後に助けに入られても意味ないんだけど?」

「助けてやるっつってんだろ!」

(((意味ねぇじゃんか!)))

 僕が一角ウサギのところに行くと、一角ウサギと目が合い、にらみ合った。

 いつでも反応できるように起動しておくか。

「「「雷光」」」

 僕が雷光を起動すると、一角ウサギは僕が戦闘態勢に入ったと認識したらしく、後ろ足で地面を蹴って、僕に向かって突っ込んで頭の角で攻撃してきた。

「いてっ。やりやがったなこの野郎!」僕は一角ウサギに殴りかかったが、すばしっこくて一向に当たらなかった。

 一角うさぎは彼方が思っていたよりずっと強く、小さいのに以外にも速かったので、蹴ろうとしても殴ろうとしても一向に当たらず、只々一角ウサギの角の攻撃をくらいまくっていた。

「いてっ、くらえー!」

「いてっ、逃げんなこのクズが!」

「いってぇー!」

 僕は悪戦苦闘していたが、アリサが助けてくれることはなく、近くに来て地面の草の上にハンカチを引いて座り込み、持ってきていたお茶を飲みながら観戦しだした。

「彼方~! が~んばれ~!」僕はアリサに手を振られた。

 あの野郎、どういうつもりで観戦してやがるんだよ! 助ける気ゼロじゃねぇか!

 僕はもう一度一角ウサギに目をやった。すると、一角ウサギは暢気に〇ンコをしていた。

「この野郎! コケにしやがって。ぶっ飛ばす!」

 僕は一角ウサギに向かって蹴り込んだが、一角ウサギはピョンっと上に跳び、僕の蹴りをかわしてもう一度その場に〇ンコをしだした。

「なめんなよ。〇ンコ野郎!」

「ギィィィー」一角ウサギは〇ンコ野郎と言われて怒ったように威嚇した。

「てめぇ、今更何キレてんだよ! いてっ」僕は一角ウサギに突進された。

 クソー。そうだ、ただ立っているだけだから攻撃をくらうんだ。だったらこっちも雷光使っているんだし動き回っていれば。

 僕は一角ウサギの突進を跳んで横に避けた。

「へへっ、どうだ〇ンコ野郎! もう攻撃は当たらないぞ? オラオラかかって来いヤァ!」

「じゅるじゅるじゅる~」アリサがのんきにお茶をすすっている。

「ギイ ギイ ギイ」

「何だ〇ンコ野郎、僕の雷光がズルいとでも言ってんのか? 残念ながら魔法を使うのは魔法を使えるやつからしたら当たり前なんだよ。ひゃーひゃっひゃっひゃ オラオラそんなもんかぁ? ひゃーひゃっひゃっひゃ!」

 魔物は人を攻撃する有害鳥獣に指定されているのだが、完全に彼方の方が有害のような光景になってしまった。一角ウサギは彼方に煽られ、怒って彼方に向かって突進してきた。

「よっと、今の僕なら簡単に避けられるぜ! くらえ!」僕は一角うさぎの攻撃をよけて、右手でパンチを繰り出すと、初めて一角ウサギに攻撃が当たり、一角ウサギはより一層怒りだした。

 その後十分程、一進一退の攻防を繰り広げ、最後に彼方と一角ウサギの攻撃がお互いに同時に当たり、彼方と一角ウサギはその場に倒れこんだ。

「はぁ、はぁ、中々やるじゃんか。ウサギちゃん」

「ギ、ギイ」

「はぁ、はぁ、はぁ」僕は疲れて息が上がっていた。

「彼方終わった?」お茶を飲んでいたアリサが、寝そべっている僕の顔を覗き込んだ。

「ああ、終わったぜ。中々いい勝負だったよ。なあウサギちゃん」

「ギイ」一角ウサギも彼方と同様、疲れて動くことができず、倒れながら返事だけした。

「あ、そう。じゃああたしがこのウサギ殺しておくね」そう言ってアリサは一角ウサギの耳を持って、一角ウサギを持ち上げた。

「ギ、ギイ~」一角うさぎは疲れ切っていて抵抗できないようだった。

「止めろアリサ! 何で殺しちゃうんだよ。共に戦った仲じゃないか!」

「共に戦った仲じゃないだろ! ついさっきまでお前ら同士で殺し合ってたじゃんか!」

「い、いや、そうだけどさ」

「じゃあいいな。とっとと殺して核取らないといけないから」

「止めてくれアリサ! そいつだけは、そいつだけは殺さないでくれ!」

「ったくもう。しょうかないな」

「「「ヒール」」」

 アリサは一角ウサギと彼方にヒールを掛けると、一角ウサギから手を離した。

「彼方、魔物を倒した時の核がいくらで売れると思ってんの! 戦ったなら最後まで倒さないとダメだから。分かった? あたしのヒモにならないようにちゃんと戦って!」

「・・・・・・分かりました」

「そこのウサギ、もうどっか行っていいよ」

「ギイー!」一角ウサギは返事をすると、走ってどっか行ってしまった。

「全く彼方は。一角ウサギはこの辺りじゃ一番弱い魔物なんだからちゃんと倒して核取ってよ」

「・・・・・・面目ない」

「はい、次。あそこに跳んでるデフ鳥(でふどり)倒して。鶏肉ドロップするから焼き鳥にしたら美味しいよ」

「肉が手に入るだと⁉」

「「「伝雷」」」

 僕が放った伝雷はデフ鳥向かって一直線に飛んでいき、直撃した。伝雷が当たったデフ鳥は、ビリビリと青白い電気を帯びて空中で ぽんっ っと音を立てて消滅し、デフ鳥がいたところから何かが地面に落ちた。

「よし、倒した! あの落ちてきたのが鶏肉だろ、これで肉がくえるぜ」

「もう、さっきより強い魔物のはずなんだけど。・・・・・・まあいいや。ドロップアイテム拾うよ」

 デフ鳥から落ちたドロップアイテムのところに行くと、鶏肉と、ひし形のゴツゴツした石が落ちていた。

「この肉は食うとして、こっちの核の方はいくらで売れるんだ?」

「う~ん。基本的には二千円くらい。高い時は倍の六千円で売れたこともあったよ」

「結構いい値段で売れるんだな」

「そうだね。でもカザス王国の周辺だと、基本的にこいつか一角ウサギしかいないのと、魔物自体あんまりいないから、殆ど稼げないの」

「なるほど。じゃあさっきの一角ウサギって逃がしちまったけど結構痛手だったりするのか?」

「ううん、あたしも痛手なのに逃がしたりする程バカじゃない。二人いるから明日遠くまで行って魔物倒そうと思ってるの。彼方もデフ鳥を簡単に仕留めてるし、そこそこ命中率は高いいから弱くてすばしっこい魔物を彼方が倒して、強い魔物をあたしが倒せば結構稼げると思うの」

「おお、頭良いな! それでいこう」

「よし、それじゃあ、今日は帰ってご飯にしよ。もうすぐ日が沈むし」

「もうか? まだ夕暮れになってすらいないし、何で沈むことが分かったんだ?」僕の言葉を聞き、アリサが空を指さした。

 僕も空を見ると、沈みそうな太陽の反対側には巨大な赤い月が出ていて、その周りはパラパラと星が輝きだしていた。太陽の方向は青空が広がっていたが、赤い月の方向は暗い夜空になっている。きっとこっちの世界には夕方の茜色の空が無いのだろう。

「そうだな、帰ろう」

 彼方とアリサは、カザス平原を後にした。

 アリサのマンションに帰ってくると、僕はソファーで休み、アリサは夕食の食材に何があるか確かめるため、冷蔵庫を漁った。

「彼方どうしよう。夕飯パンしかない」

「何だと⁉ さっきの肉は?」

「あるけど、味付けする物がない」

 僕も一緒に冷蔵庫や調味料を見たが、牛乳と砂糖が置いてあるだけで、他は何もなかった。

「とりあえず肉は冷蔵庫に入れておこう。あ、卵あるじゃん」

「こんだけじゃ美味しいもの作れないよ。彼方を探しに行くときに、冷蔵庫の中身を一通り処分してたこと忘れてた」

「う~んと、とりあえず今日は僕が作るよ。先に風呂入ってくれば?」

「分かった、じゃあよろしくね」

「うい」

 アリサが風呂場に向かうと、僕はフレンチトーストを作るため、フライパンにバターを引いて、牛乳、卵、砂糖を用意した。

 ん? 牛乳腐って・・・・・・ない。卵、卵は腐って・・・・・・ない。なんでだろ? まぁ、きっとこっちの牛乳はモンスターの乳から採っていて腐りにくいんだろう。卵もよく見たらしろと茶色のまだら模様だし、こいつもモンスターの卵なんだろうな。

調味料に砂糖が残っていたのが不幸中の幸いだったな。よっと。バターの上に砂糖を引いてからパンを焼くと美味しくなるんだよな。一人で生活していたのがこんなところで役立つと思わなかったな。

 夕食を作り終えたので、アリサを呼ぶために洗面所の扉を開けた。風呂場はその奥なので、洗面所からならアリサに声が届くだろう。

「アリサ、夕飯の準備ができ・・・・・・たぞ」

 洗面所では思った以上に痩せ細った体のアリサがドライヤーで頭を乾かしていた。スポーツブラとスポーツパンツを履いていて、部屋着に着替えていることはすぐに分かったが、湶やボディラインがくっきりと見えていて、十四歳の体とは思えない程細身だった。

「ん、今行く」

 服を着ていたから気が付かなかったけど、痩せすぎじゃないか? 十四歳でこんなに痩せている人見たことないぞ。昔の痩せ細った僕でもここまでじゃなかったぞ。

「アリサ、ちょっと痩せすぎじゃないか? 飯ちゃんと食っているか?」

「ん、今日は食べる」

「今日はって、じゃあ昨日は?」

「食べてない。水は飲んだ」

 地球に来ていたから、お金が無くてろくにご飯が食べられなかったのだろう。僕は何だか可哀想になってきてしまった。

「アリサ、今日から毎日僕がご飯作ってやるからな」

「突然どうしたの? あ、まさか何か企んでるな。とっとと吐け! 吐かないとお前の命はないぞ!」

 心配するとものすご~く疑われるんだな。

「何も企んでないよ。アリサのその痩せ細った身体を見たら、地球でろくに飯食ってなかったんじゃないかと思ってさ」

「そうだよ。本当に彼方を探すの大変だったんだから」

「そうだよな、そうに決まってるよな。僕、アリサのために頑張るよ」

「本当に頑張って欲しいよ。何だよあの地球のじゃらじゃらしたやつ。ほんとムカつく」

「じゃらじゃらしたやつ?」

「うん、あれのせいでお金が無くなったんだよ。全然増えないんだもん」

「全然増えない? 何それ?」

「ん? 何ってパチンコ。あれやればお金増えると思ったのにさ、マジで増えない。一ヶ月くらいやってたけど、どんどんお金が無くなっていったの。しょうがないからすぐに彼方を探して帰って来たけど、お金がないと何にもできないのはこっちと一緒だね」

 こいつ僕を探している間にパチカスになっていたのかよ! 心配して損したじゃねぇか! 大体一ヵ月パチカス生活していたんだろ、何で初めの数日で増えないことに気が付かなかったんだよ。ってか、・・・・・・パチカスになる前はどうやって資金を得ていたんだ?

「パチンコするお金ってどうやって手に入れてたの?」

「え、金持って行って売った。百万円くらいになったよ」

「そうか、一ヵ月で百万円使うパチカスに今日初めて会ったよ」

「えへへ」

「褒めてるわけじゃないんだぞ。ともあれ、飯もう少しちゃんと食べない? 月十万だと厳しい?」

「え、こっちでそんなに沢山ご飯食べてる人いないよ? 地球ほど美味しいご飯作れる人いないから」

 なるほど。日本じゃ美味しいご飯を食べて食事を楽しむ文化はあったけど、こっちはそういう文化が無いのか。地球と同じものは大体あるし、素材がダメなのかな? じゃあ僕が作ったフレンチトーストもこっちの食材で作ったから美味しくできていないのかな。

「でも、とりあえず、今のままだと瘦せすぎだから、もうちょっと食べるようにしろよ」

「わかった、っと」アリサはドライヤーを置くと、僕のところに来た。僕はご飯を食べるのかと思い、部屋を出ようとしたが、胸ぐらを掴まれた。

「何だ?」僕はアリサにそう言った。

「何だ? じゃない! 彼方お風呂覗きに来ただろ」

「覗いてねぇだろ! ご飯できたから呼びに来たんだよ。今更何ほざきだしてんだ!」

「気付かないふりしてたけどいつまでも私の体のこと言ってるし、欲情してたわけじゃないだろうな?」

「してねぇわ! 何で十四歳の女の子に欲情すると思ったんだよ」

「まあいい、ったく。ちょっとは欲情しろよ。地球では、覗きたくて覗いた訳じゃない。って言い分けするのが流行っているんじゃないのかよ」アリサはそう言って、僕から手を離すと、ダイニングに行って座った。

「流行っているって何?」

「漫画喫茶で読んだ漫画」

 普通に旅行感覚で地球を満喫していたのかこいつ。ふざけやがて、やせ細ったのも飯食うの後回しにして遊び呆けてたからじゃないか! 僕の心配返せ!

「何だよこれ!」

「今度は何だ、どうした?」

「夕飯パンしかないじゃん!」

「さっき自分でパンしかねぇって言ってたじゃねぇか!」

「じゃあいい、大体なんでパンが黄色いんだよ!」

「フレンチトーストだ。こっちの食材だと分からんが、多分・・・・・・多分美味しいと思うから食べてみな」

「むぅ~・・・・・・。」アリサはムスッと口を尖らせ、頬を膨らませてしまった。しかし、ナイフとフォークを持つとパクッと一口フレンチトーストを食べて僕の方を見た。

「えへへ、美味しかった」アリサはニコッと笑ってそう言った。

「お気に召したようで」僕はそう言いながらアリサの方に行き、二人で夕食にありついた。

今回は以上になります!

また近いうちに続きを投稿しますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

ご閲覧いただき、ありがとうございました。また次回作も閲覧して頂けると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします(≧▽≦)/

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