猫はサラダチキンを食べ終わると、再び歩き出した。翔馬はサラダチキンのゴミと缶コーヒーの空き缶をコンビニの前のゴミ箱に捨てると、再び猫の後に付いて行った。店員さんがくれた絆創膏のおかげで手のしびれが無くなった。それでも手は悴んでいたので、上着のポケットに手を突っ込みながら猫と後を追った。
暫く歩くと、猫が立ち止まり、右の方をじっと見つめ、翔馬の方を見た。翔馬は猫が見ている方を見ると、そこは長い階段になっていた。
あれ? こんなところにこんな階段あったっけ? 地元だけど、知らない場所って意外とあるもんなんだな。
猫は翔馬が来たことを確認すると、階段を上って行った。
「いや、この階段上るのかよ。帰って寝てぇよ」
「シャー!」猫は怒って威嚇した
「分かった、分かったよ。行けば良いんだろ行けば」
翔馬は猫の後を追って、階段を上り始めた。30分は上っただろうか。まだ一向に頂上に着く気配がない。
「おい、猫ちゃん、この階段いつになったら終わるんだよ。いい加減疲れてきたぞ」
「にゃむにゃむにゃむ」猫の言っていることは分からなかった。
それからまた30分ほど階段を上って行った。
「おい、いい加減にしてくれよ」翔馬がそう言うと、猫は振り返ってこちらを見ると、走って上まで行ってしまった。よく見ると、頂上が見えているのが目に入った。
「はぁ、ようやくか」翔馬はそう言うと、頂上に向かって歩き出した。そして、頂上に着くと、衝撃的な光景を目の当たりにした。
そこは大きな神社になっていて、その周りには二股の猫が大量にいたのだった。
「この猫たち尻尾が二つある。ってことは妖怪か何かの類だって事か⁉」
翔馬は驚いて混乱していると、さっきの猫が翔馬の所に来た。
「やっぱりあんたには見えるんだね!」
人の声がする。
「誰だ、どこにいるんだ⁉」
「ここだよ」
翔馬は声のする方を見ると、さっきの猫が翔馬の方を見ていた。
こいつが喋ったのか? いや、そんな訳ないか。ん? よく見たらこいつも尻尾が二股になってる。ってことはこいつも妖怪だったって事か。
翔馬はその猫に対してこう言った。
「お前が喋ったのか?」
すると、その猫は、
「そうよ、あたしが喋ったの。この姿で話すのもなんだし、ちょっと待ってね」そういうと、猫は徐々に光りだした。
やっぱりこの猫が喋っていたのか。何かこの猫光ってるけど、俺って非日常体験みたいなことしてるな。いや、非日常体験か。
その猫の光は徐々に大きくなっていき、1人の女の子の姿になった。
「あたしの名前はみねこ。この姿なら喋りやすいでしょ?」みねこはそう言った。
「喋りやすいっつうか、状況が理解できていないっつうか。俺はここにきて何をすればいいの? こんな猫の妖怪だらけの所に連れて来られてもどうしたらいいか分からん」
「あら、あんたやけに落ち着いているわね。ビビって逃げるとか、俺のこと殺す気なのか? とか言い出すかと思ったけど」
「いや、死んだらそん時はそん時だ。それにしても、妖怪なんておとぎ話でしか出てこないようなもんが実在しているんだな。どの猫もみんな人間になれるのか?」
「なれないわよ。ある一定以上の基準を満たさないと人型にはなれないの。50年生きれば猫又にはなれるんだけどね」
「へぇ~この二股の猫が猫又って事か」
「そうよ」
「なるほどな、尻尾が二つあること以外は普通の猫にしか見えないな」
「まぁ、喋れはするけど、普通の猫とそんなに変わらないわ」
「え⁉ どの猫もしゃべってないぞ?」
どの猫も寝そべっていたり、顔を手で擦ったり、走り回っているなどしていた。
「猫ってあんたが思っているよりずっと耳が良いの、多分あたしたちの会話を聞いているんだと思うけど・・・・・・。」
みねこがそう言った時、一匹の猫がこちらに向かって歩いてきた。
「みねこ、それは言わないでほしかったんだけど」
「え、あ。ごめんごめん」みねこは えへへ と苦笑いした。
「全く、みねこはちょっと抜けてるところがあるんだから」猫はそう言うと、神社の方に戻っていった。
「それじゃ、あんたを連れて来た理由について話そうと思うんだけど」
「え、あ、ああ」
今回はここまでになります。
noteもやっているので、是非読んでみて下さい!!(≧▽≦)/
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