今日から君が主人公3章 ~天空での裁判~

ギャグ

 俺は吸い込まっれた後、目がチカチカとし、気付くと空がゆがんでいる世界にいた。

「ここが天界よ。あんた今から裁判だから。もうどうなっても知らないから」

「ざけんな! 何で裁判何かしないといけないんだよ。人生で一回も魔物と戦ったことが無いんだから仕方ないだろ」

「仕方なくない! もうあんたがどうなるかは裁判で決まることになったから。とっとと目の前の裁判所に行きなさい」

「やだ、絶対行かない。帰らせてくれ」

「はぁ、もう」

 ピー! ヒナが口笛を吹くと、あれよあれよと兵士が集まり海斗を拘束した。

「何だこいつら、何すんだ! やめろぉぉぉ!」海斗は錠をかけられ、抵抗することができなくなり、あっとい間に体を持ち上げられた。

 わーっしょい わーっしょい 兵士たちは海斗を胴上げしながら運んでいる。

「何で胴上げしてるんだ! 胴上げする必要ないだろ! やめろぉぉぉぉ!」

 海斗は裁判所の中に入れられ、席に座らされた。

 裁判所の中には正面に裁判官らしき人が数人と、左側にヒナとその横に弁護人らしき人。右側には俺と恐らく俺の弁護人らしき人が座った。ヒナはスーツに眼鏡をかけていて、正装をしている。

 あいつ、いつの間にスーツに着替えたんだよ。ってか今勇者辞めるって言ったのに、今から裁判なんて、普通できる訳ないだろ。いくらなんでも早すぎる。何企んでんだこれ?

「被告人は証言台へ」裁判官にそう言われ、俺は証言台に立たされた。

 裁判官から氏名、生年月日、住所、職業は何かという質問がされ、海斗はこれらの質問に答えた。

 あれ? 何かマジの裁判っぽくね⁉ 海斗はそう思った時、アリカが100年くらい刑務所に入る可能性もあると言っていたことが脳裏を過った。

 勇者が魔王討伐に行かないことってそんなにヤバい事なの⁉ 100年刑務所には入りたくない、ここはなんとか俺の意見を聞いてもらわないと。

 海斗はそう考えながら、証言台に立っていた。

「被告人は勇者でありながら、魔王討伐を拒否したという罪に問われている。これで間違いないかね?」裁判官がそう言った。

「え、いや。まぁ、そうだけど。俺モンスターと1回も戦ったことないんだよ! いきなり勇者だから魔王討伐に行けって言われても無理に決まってんだろ」

「ふむ、次に原告人はこれについて何かあるかね?」

「魔王討伐は勇者の使命。魔王を討伐しないと世界が平和になりません。万が一、被告人が魔王討伐に行かないなら・・・・・・そうね、一生あたしの下僕になる刑を求刑するわ」

 ヒナのやつふざけてんのか⁉ 何で魔王討伐に行かなかったらヒナの下僕になるんだよ!

「次に被告人これについて異論はあるかね?」

「明らかにヒナがふざけていると思うんだが?」

「異論はないという、こと。か」

「いやいや、ちょっと待って下さい、異論ですね、異論を言えばいいんですね、俺はたまたま勇者に生まれてきただけなんだ。モンスターとの戦闘経験もないし、自分で言うのもなんだが、めちゃくちゃ弱いんだ。だから、」

「黙れ!」裁判官がそう言った。

(((裁判官酷くねぇか? 異論はあるかね? って言って喋らせといて黙れって何だよ!)))

「次に神崎海斗の弁護人、神崎海斗に何か弁護することはありますか」

 俺にも一応弁護人がいるのか。頑張って弁護してくれ。俺はたまたま勇者に生まれただけの被害者なんだ。

 弁護人は静かに立ち上がった。眼鏡にスーツ姿で、いかにもエリートの道を辿って来ていそうな男性だった。髪は七三分けで、真面目そうな表情が俺を期待させた。

(((この風格、間違いなく俺の弁護人は出来る!)))

 俺はそう確信していた。弁護人は眼鏡を少し触ると、真面目な口調で話し始めた。

「・・・・・・異議なし、ヒナの下僕になりたまえ」

「おい! 俺の弁護人だろ! 何で異議が無いんだよ、何しに来たんだよ! 弁護しろよ!」弁護人は海斗をチラッとを見た。

「異議は・・・・・・うん。なし」海斗の弁護人はもう一度そう言って席に座った。

 俺の弁護人、何のためにいるんだよ! クソ~、これ最初から出来レースだったなこの裁判。初めから僕に罪を着せるためだけに開かれた裁判だったって事か。

「因みにさ、ヒナの下僕になったら俺はどうなるんだ?」

「魔王討伐に行ってもらうけど?」ヒナがそう答えた。

「ざけんな! 結局魔王討伐に行くことになるんじゃねぇか!」

「あと、掃除とか洗濯とかやってもらおうかしら? あ、あと料理も毎日作ってもらおうっと」

「おい、俺のこと召使いにしながら魔王討伐しようとしてるのか?」

「だってぇ~」

「だってぇ~ じゃねぇ! 俺、本当に戦闘経験ないんだぞ」

「まぁそこは何とかするから」

「何とかするったって、」俺が反論していると、裁判官と、ヒナの弁護人の女性がひそひそと話しているのが目に入った。そして、それから、裁判官がこう言った。

「これより判決を言い渡す。神崎 海斗。お前の処遇は・・・・・・」

「なんだ? どうせヒナの下僕だろ? そんなのとっとと逃げ出してどっか別の町で暮らしてやるぜ」海斗は鼻くそをほじりながら適当に聞いていた。 

「魔王の目の前に捨ててくる刑に処する」

「いや待て、罪が重すぎんだろ! 今すぐ戦って勝てる訳ないだろ!」

「うるさい、どうしても魔王討伐に行かないなら、無理やり行かせるまでだ。行ってきなさい!」

「待ってくれ! 分かったから、魔王討伐するからするからやめてくれ。流石に死にに行くようなもんだから!」俺がそう言うと、裁判官がさっきとは全く別の口調で話し始めた。

「あ、そう。魔王討伐するの? それならいいのじゃ、魔王討伐するなら許してあげるのじゃ。じゃあ~・・・・・・お前はもう、帰れ!」裁判官はそう言うと、すぐさまゲートが開かれた。再び吸い込まれると元の自分の家に戻って来ていた。

「海斗、魔王討伐する気になった?」ヒナはにこやかにそう言った。

「お前鬼か」

「鬼じゃなくてドラゴンだもん」

(((そういう意味で言ってねぇよ!)))

「とにかく、魔王討伐すりゃいいんだな?」

「そうよ。ふぁ~」ヒナは大きなあくびをした。それに気付いた俺はこう言った。

「そろそろ寝るか? 俺も疲れたし。はぁ~あ、魔王討伐かぁ~先が思いやられる」

「仕方ないでしょ、勇者なんだから。それとも今すぐ魔王の目の前に捨てて来てほしいの?」

「鬼か!」

「ドラゴンよ」

「はぁ、魔王討伐って、ヒナも一緒に来てくれるんだよな?」

「それはそうに決まってるでしょ。って言っても魔王はあたしでもまだまだ全く歯が立たないくらい強いけど」

「げっ。そんな奴の所において来ようと思ったのかよ」

「おいて来ようと思ったのはあたしじゃないし」

「はぁ。まぁ、ヒナが付いて来てくれるんなら、俺が早々に死ぬことはないと思うし、今日はもう寝ようぜ」

「まぁ、そうね、とりあえずそうしましょうか」二人はベッドに向かった。

「あ。ベッド一個しかないな」

「海斗は床で寝なさいよ」

「やだわ。俺んちだぞ?」海斗の反論を無視してヒナがベッドで寝だした。

「おやふみ。ふぁ~あ」

「・・・・・・お前な」俺は枕とタオルケットを用意して床で寝に入った。しかし、床が硬くて簡単には寝付けなかった。すると、暫くしてヒナが話しかけてきた。

「海斗まだ起きてる?」

「起きてるぞ~」

「あんたさ、あたしの所に来るの遅すぎだから」

「その・・・・・・。ごめん。勇者だったこと知らなかったんだ」

「ああ、そう言えばそうだったわね。・・・・・・あたしがアリサちゃんに早く気づかせてって依頼したのよ」

「そうだったんだ」

「あたし、ずっと一人で待ってたんだからね」

「・・・・・・ごめん」

「それにしても、あんたほんっとうに弱いわよね、何で戦闘経験ないのよ?」

「何でって言われても・・・・・・戦う機会とか無かったし」

「王都まで言ったことあったでしょ。その時出てきたモンスターはどうしてたの?」

「護衛に冒険者を雇って倒してもらってたな」

「何でそんなお金あるのよ」

「いやさ、俺、ポーションを作る仕事してるから、魔王が出没してから売れ行きがすっごく良くて結構金持ってんだよ。このままモンスターが暴れ回っててくれたら、結構裕福な暮らしができるんだなぁ」

「それで魔王討伐に行きたくないと」

「まぁ、本音はそうだけど」

「ちゃんと戦って強くなりなさい、あんた自分の周りしか見てないけど、今でもどっかの地域では魔王軍に侵略されて大勢の人が死んでるんだからね」

「そ、そうだったのか。・・・・・・知らなかった」

「絶対魔王討伐しなさいよ?」

「分かってるよ、魔王の前に捨ててくる刑に処されるのはごめんだしな」

「そうねそれならいいけど」

「うい」

「もう寝るわよ」

「ああ。お休み」

次の日

「海斗起きて、起きて、朝だよ」

今回はここまでになります!noteもやっているので是非見て見て下さい!!

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